「クリア コーヒー」と聞いて、透明な液体を想像した。写真を見る。普通に茶色い。
スターバックスが7月31日から、「クリア コーヒー」と「シトラス クリア コーヒー」を全国で販売している。日本上陸30周年の年に出した、苦さひかえめの新しいコーヒーだ。
クリアなのは色ではなく、飲み口
スターバックスの発表では、若い人の「苦そう」「自分に合うコーヒーが分からない」という声に着目したと説明している。
クリア コーヒーは、ブロンドエスプレッソにシロップを加え、苦みを抑えたもの。ほんのり甘く、すっきりした味を狙っている。シトラス版には果肉を加え、コーヒーの香りと柑橘の甘みを重ねた。
価格は持ち帰りで481円と579円。どちらもアイスのトールのみ。7月29日に渋谷cocoti店で先行販売し、31日から全国へ広がった。
使っているのは、日本上陸30周年に合わせて開発された「スマトラ マサ デパン」の豆。抽出はリストレットショットで、通常より短い時間でうまみや甘みを取り出し、苦みを抑える設計だという。単にシロップで苦さを隠した飲み物、という説明ではなかった。
開発前の自社調査では、18〜23歳の学生600人のうち、ブラックコーヒーを飲んだことがない人が約46%。その理由のトップは「苦そう」で約44%だった。一方、甘いコーヒーなら飲むと答えた人は約56%。この数字を見ると、フラペチーノとブラックの間を埋めたい、という狙いはかなり具体的だ。
商品づくりではSHIBUYA109 lab.と組み、8人の若者とのワークショップ、4人の試飲セッションを実施したという。人数は大規模調査ほど多くないが、味だけでなく名前や見た目まで話した過程が公開されている。
「コーヒーが苦手な人向け」をコーヒー店が出す
甘いフラペチーノを入口にスタバへ行く人は多い。ただ、メニュー名にコーヒーと書かれた瞬間、苦味を警戒する人もいる。今回の商品は、その境目をかなり正面から埋めに来た。
シトラスとコーヒーの組み合わせは、好みが分かれそうだ。柑橘の酸味とコーヒーの酸味が合う人には涼しそうだし、別々で飲みたい人には落ち着かないかもしれない。発表写真は青空を背景にしていて、昔ながらの喫茶店のコーヒーとは正反対の顔をしている。
公式Xは「コーヒーが苦手な人のためのコーヒー」とかなりはっきり書いている。コーヒー店が入口を広げる商品なのに、名前からコーヒーを外さなかったのが興味深い。
コーヒーが苦手な人のためのコーヒーができました。30周年の特別な一杯、クリア コーヒー。
発売後には「美味い、飲みやすい、がぶがぶ飲んじゃいそう」という投稿も出た。逆にレビューを書いた人からは「物足りないかも」という言葉もあり、普段から濃いコーヒーを飲む人と、苦味を避けていた人では評価の軸が違いそうだ。
スタバの新しいクリアコーヒーって、とてもいい。美味い、飲みやすい。がぶがぶ飲んじゃいそう。
名前に少しだけ文句はある。「クリア」と言われたら、どうしても透明を期待する。実際は「軽い」「すっきり」の意味だった。けれど、そこで一度勘違いしたおかげで商品を覚えた。これも名前の仕事かもしれない。
私はまずシトラス版を飲みたい。普通のほうを選ぶと、飲んだあとに「これならアイスコーヒーでもよかったかも」と考えそうだからだ。せっかくなら、少し変なほうへ行く。
見たもの
アイキャッチ:スターバックス コーヒー ジャパンの発表素材。価格と販売情報は2026年8月4日時点。