車に詳しくなくても、「奈良50」の横に新しそうなハスラーがいると、なんとなく時間がねじれて見える。
8月3日、Xに「ありえんナンバーのハスラーいて何?」という写真が投稿された。写っているのは黄色い軽自動車用ナンバー。「奈良50 と 20-60」と読める。
ありえんナンバーのハスラーいて何?
変なのは「20-60」ではなく「50」のほう
大きな4桁は希望ナンバーでも取れるので、「20-60」だけなら珍しくない。引っかかるのは、地域名の横にある分類番号だ。
軽自動車検査協会の説明では、乗用の軽自動車に使う分類番号は50〜59、500〜599、700〜799など。昔の軽乗用車には「50」のような2桁があり、2005年から3桁化と希望番号制度が始まったことは、国土交通省のナンバープレートの歴史資料にも出ている。
一方、スズキのデジタルライブラリーによると、ハスラーの発売は2014年。2桁分類番号の新規交付が終わったあとに生まれた車だ。
だから、写真の組み合わせを普通の新規登録として説明するのは難しい。Xで「ありえん」と言われているのは、たぶんここだ。
分類番号と、下段の4桁は役割が違う。「20-60」は車の持ち主が希望できる部分だが、「50」は車種や用途を分けるための番号。見た目はどちらも数字なのに、片方は選べて、片方には制度の年代が残る。知らないと同じ数字列にしか見えない。
軽自動車の希望番号は、すべての数字が抽選になるわけではない。人気が集中する一部だけ抽選対象で、それ以外は申し込み順が基本だ。なので「20-60」が珍しいから写真が広がったのではなく、ハスラーと2桁の「50」が同居していることが核心になる。
現在の分類番号は数字だけとも限らない。軽自動車検査協会の一覧には「50A〜59Z」や「5A0〜5Z9」まで載っている。番号が足りなくなるたび桁や文字の組み合わせが増えてきた。一方、写真の「50」はもっとも簡素な2桁。新しい車体の横に古い書式があるため、余計に目へ入る。
写真の黄色地に黒字は、自家用軽自動車の配色としては普通だ。事業用なら黒地に黄色字になる。つまり、色ではなく分類番号の年代だけが妙なので、車に詳しい人ほど一瞬で引っかかった。
写真だけでは正体まで決められない
とはいえ、すぐ「偽造だ」と決めるのも雑だ。展示用プレート、撮影用の加工、ナンバーを隠すカバー、見間違いなど、写真一枚では切り分けられない。投稿にも、車両の来歴や撮影場所までは書かれていなかった。
Xの反応も、制度を知っている人ほど断定を避けていた。「昔の番号をどうやって」という驚きの横で、カバーではないか、撮影用ではないかと考える人がいる。元写真から確認できるのは表面の文字まで。所有者や登録状態を想像で埋めないほうが、この謎は面白いまま残る。
面白いのは、ナンバープレートが小さな年表になっているところだ。地名の横が2桁なら古い時期、3桁ならそれ以降。普段は数字のかたまりにしか見えないのに、制度を一つ知ると急に車の年代と会話を始める。
私なら街で見ても「古いナンバーだな」で通り過ぎていた。ハスラーの発売年まで頭に入っている人が見つけたから、写真が謎になった。こういう知識の使い道、生活にはほぼ必要ない。でも、かなり好きだ。
見たもの
アイキャッチは車と街並みのイメージです。写真:Xavier Garcia/Unsplash。1600×900ピクセルにトリミング。